高層マンションに潜む“見えないリスク”と現実的な備え
眺望、駅近、最新設備──多くのメリットがある高層マンション。
でも、災害で“電気が止まった瞬間”から、生活は一変します。
実際、地震や台風などの災害時には、「タワマンでの在宅避難が想像以上に過酷だった」という声も多く上がりました。
この記事では、停電が起きたときの高層階のリアルな影響と、事前にできる備えについて解説します。
エレベーターが止まると、生活が階段頼りに
高層階の生活では、エレベーターは“足”そのもの。
非常用電源があっても、1基のみだったり数階分だけ稼働だったりと限定的なケースがほとんど。完全停止も珍しくありません。
起きる問題の例:
- 外出や買い物が困難になり、高齢者や小さな子ども連れは特に負担
- 水や食料を上階まで運ぶのが重労働に
- 救急搬送や避難に時間がかかるリスクも
実際、15階からの階段移動で熱中症になったケースも報告されています。
水が出ない・流れない、という現実
高層階では電動ポンプによって給水・排水を行っているため、停電=水が使えないという事態が起こり得ます。
- 水道の蛇口をひねっても出ない
- トイレの水も流れない
- 無理に流すと、逆流や漏水の原因に
特に排水トラブルは、階下への被害にもつながるため注意が必要です。
暮らしに欠かせない家電が使えない
電気のない生活は、思っている以上に不便です。
特にタワマンは“電気ありき”の設備が多く、停電時の影響は甚大です。
- スマートロックや共用エントランスのオートロックが解除できない
- インターネットやテレビが止まり、情報収集ができない
- 冷蔵庫やIHコンロが使えず、食事が不自由に
- 電動シャッターやブラインドが開かないケースも
食べる・照らす・守る・知る──そのすべてが止まる可能性があります。
避難したくても、移動できないことも
火災やガス漏れなどで避難指示が出ても、階段しか手段がなく、身体的なハードルが高いのが高層階の現実です。
さらに、停電によって共用部の照明も落ちると、非常階段が真っ暗で移動自体が困難になることも。
避難できる=安全、ではなく、“避難できないかもしれない”という前提での備えが必要です。
タワマンで備えておきたいポイント
暮らしの安心を守るために、あらかじめ備えておきたい防災アイテムや工夫をまとめました。
- 飲料水と生活用水の備蓄(1人3L×3日分以上が目安)
- 携帯トイレや凝固剤のストック
- スリッパや手提げライトなど、階段移動用の装備
- ラジオ、モバイルバッテリー、ソーラー充電器などの情報源
- 玄関付近に非常用ライトを常備
さらに、非常階段や避難ルートを実際に歩いてみる、防災訓練に参加するといった行動も有効です。